感染症の影響で、経営状態に悩みを抱えている人は多いでしょう。
地域によっては、感染拡大が懸念され、休業という選択肢を取っている会社も少なくありません。
ですが、期限がすでに終了してしまっている国の制度もありますよね。
そんな人に朗報です。
雇用調整助成金の特例措置の延長が決まりました!
制度概要をおさらい
コロナによる感染拡大により休業を余儀なくされている事業者にとって、雇用調整助成金の特例は経営を支えてくれる制度になります。
その期限が延長されたとなると、現在申請を諦めている経営者の悩みや負担を軽くしてくれますよね。
まずは、助成金制度の概要について、簡単にですがおさらいしておきましょう。
制度を理解する上で大切なポイントは、以下の3点です。
・制度の内容と申請のための条件
・どのくらい助成してもらえるのか?
・対象となる労働者の範囲はどこまで?
これらは、制度を理解する上で基本となる部分ですから、申請の有無に関わらず知っておいて損はありません。
さらに、従来からあった雇用調整助成金の特徴も一緒に比較して解説したいと思います。
・制度の内容と申請のための条件
そもそも雇用調整助成金とは、経営者が従業員の雇用を維持するために、休業等を行う場合に国から休業手当に関するサポートが受けられる制度になります。
休業等で従業員の雇用を維持すると言っても、経営状態が悪い状態では、本来渡すべき給料を支払うのが難しいですよね。
しかし、時間給で働くアルバイトとは違い、正社員になると給料を支払わないということはできません。
従業員と経営者双方に、利用するとメリットのある制度になるでしょう。
この制度を基に設けられたのが、雇用調整助成金の「特例」になります。
特例の場合の申請条件は、次の通りです。
・コロナの影響により、事業活動が縮小、経営状態が悪化していること
・最近1カ月の売上高または生産量が前年同月と比較した際に5%減少していること
(事業所の状況によっては、特例措置アリ)
・従業員と適正な手続きの基に休業を行い、休業手当の支払いをしていること
簡単に説明すると、上記の条件を満たしている場合に申請することができますので、ただ休業しただけでは通りません。
特に重要なのは、労使間の協定に基づく適正な手続きを踏まえた上での休業であり、休業手当が支払われていることになります。
従業員が知らないまま休業に入ってしまった、事前に説明があっても手当を与えていないような状態では利用できませんよね。
また、申請をする場合は、事業主が雇用保険の適用を受けていることが前提になりますから、単に経営状態の問題だけで利用できる制度でないことを覚えておきましょう。
・どのくらい助成してもらえるのか?
通常の制度の場合は、サポートしてもらえる日数が決まっています。
例えば、1年ならば100日以内、3年ならば150日以内と、上限が決められ、この範囲内に対して金銭面のサポートが受けられます。
しかし、延長対象となる特例の場合は、感染症の影響によって状況が変わりますので、一概に何日以内までと決めることはできませんよね。
そのため、特例を利用する時は休業等の日数制限が決められていません。
上限日数を気にしてしまうと、感染拡大を止めることができなくなりますから、それを配慮した形の仕組みになっているでしょう。
ところで、みなさんが一番気になるのは、どのくらいサポートしてもらえるのかになりますよね。
助成金の金額は、職場での平均賃金を基に計算されますが、1日1人あたりの金額で計算すると、通常の場合は最大8330円、特例の場合は最大15000円になります。
特例に関して言うと、通常時の場合よりも上限額が大幅に上がっていますから、従業員の経済的な不安を小さくすることができますよね。
コロナの影響で収入が減少、不安定になり、不安を感じている人は少なくありません。
収入がある程度でもあるという状態は、少しでも安心感に繋がるでしょう。
助成率は、中小企業の場合は4/5、大企業の場合は2/3となっていますが、解雇しない条件だと助成率はさらにアップします。
・対象となる労働者の範囲はどこまで?
通常の場合だと、基本的に雇用保険に加入し6カ月以上継続して勤務している人が対象になります。
ですが、特例が設けられた状況下だと、雇用保険に加入していても、継続勤務の日数の条件が足りない人もいますよね。
そのため、特例では雇用期間が6カ月を超えていない人も対象として、サポートを受けられるようにしているのです。
この条件は、正社員に限りません。
非正規雇用でも、勤務条件等の関係で雇用保険に加入している人もいますよね。
その場合は、特例制度の対象になりますから、ご安心下さい。
また、特例措置の場合は雇用保険に加入していないアルバイトの休業補償も対象になりますので、雇用形態に関わらず広くサポートができるようにしています。
特に、学生アルバイトの多い事業所の場合は、特例の存在を知らなければ全体的に損してしまいますよね。
近年は、学生の中でもアルバイトをしなければ生活が成り立たない人が増えていますので、利用する際にはしっかりとアルバイトさんにも説明しておきましょう。
特例措置の延長によって得られる安心感
コロナの影響で設けられた特例措置ですが、本来ならば9月末までを対象とした制度でした。
ですが、実際の感染者の状況はどうでしょうか?
まだまだ都市部の方では、感染が収まっていない状況ですよね。
都市部に限らず、地方での感染拡大が見られる地域もありますので、安心して日常生活を送れる状況でないことが、みなさんも感じられるでしょう。
さらに、世界での感染状況見ると、一旦状況が落ち着いたと思われていた国でも、再び感染拡大が見られていますよね。
このような状況を踏まえると、まだまだ特例制度を必要としている人、事業所があることが理解できるでしょう。
その結果、特例制度の期限が2020年12月末まで延長されることになったのです!
12月末までとなると、あと数か月期間がありますから、今後休業等の判断をする場合には活用することができますよね。
現在までに、コロナの影響で倒産した企業等は多くあります。
倒産等の状況は、まだまだ続くと言っても過言ではありません。
雇用を維持できない、経営状態が持ちこたえられないと悲鳴を上げているのです。
また特例制度の延長に関して補足すると、特例が設けられてからの手続き面が次々と変わっていることをご存じでしょうか?
例えば、当初は申請をする際に休業の計画書を休業後でも提出することが求められていましたが、その作成には時間がかかりますよね。
作成作業によって、サポートが遅くなってしまっては意味がありません。
そのため、現在は計画書の提出が不要になり、申請のみでの対応が可能になりました。
迅速なサポートが必要な事業所にとっては、経営面の不安を少しでも軽くできますよね。
特例制度を利用する際の基本的な手続きや条件、サポート内容には変更はありません。
感染状況の終息がまだ見えてこない以上、自社や自社の従業員を守るためのお守り制度として、雇用調整助成金の特例措置は今一度覚えておいて下さい。
現状では12月末までの延長ですが、今後の状況によってはまた変更がある場合もあります。
活用できる制度の存在は支えになりますから、日々の報道の確認も忘れないで下さい。
まとめ
今回は、雇用調整助成金の特例措置の期間延長の決定ということで、基本的な内容についておさらいしました。
特例制度の場合、休業期間や助成額、対象者の範囲が通常の制度内容よりも拡大していますので、多くの従業員が間違いなく対象になりますよね。
その仕組みの期限が12月末まで延長されるとなると、残りの期間内に何かあった時でも安心できます。
コロナから従業員を守る手段として、改めて確認しておきましょう。