雇用保険に加入していると、毎月の給与から雇用保険料が天引きされています。
しかし、なぜその金額になっているのか、知らないという人が多いでしょう。
雇用保険料は、どのように計算されているのでしょうか?
雇用保険料の計算方法について、解説します。
雇用保険料は、業種によって異なる
雇用保険料は、労働者と事業主がそれぞれ負担していることは知っている人が多いでしょう。
しかしその割合が、業種によって異なるということは知らない人も多いと思います。
業種は、「一般」と「農林水産・清酒製造」、「建設」の3つに分けられています。
それぞれ、どのような割合になっているのか、表にまとめました。
基準となるのは、賃金総額です。
健康保険料を計算する際は、賃金総額ではなく標準報酬月額を基準にして計算されているので、違いに注意してください。
労働者の負担割合 | 事業主の負担割合 | 合計の雇用保険料率 | |
一般の事業 | 3/1,000 | 6/1,000 | 9/1,000 |
農林水産・ 清酒製造の事業 | 4/1,000 | 7/1,000 | 11/1,000 |
建設の事業 | 4/1,000 | 8/1,000 | 12/1,000 |
参考:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html)
令和2年度の雇用保険料率は、以下の通りです。
労働者の負担割合 事業主の負担割合 合計の雇用保険料率
一般の事業 3/1,000 6/1,000 9/1,000
農林水産・
清酒製造の事業 4/1,000 7/1,000 11/1,000
建設の事業 4/1,000 8/1,000 12/1,000
参考:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html)
具体的な計算方法
この中で、労働者に関係するのが労働者の負担割合です。
具体的に、どのくらいになるのかを計算してみましょう。
ちなみに、1円単位より小さい端数については50銭まで切り捨てとなり、それ以上は切り上げとして計算します。
例えば、一般で賃金総額が27万円の人がいたとします。
その場合、自分が負担する雇用保険料は270,000×3/1,000=810円です。
ちなみに、事業主は270,000×6/1,000=1620円を負担することになります。
同じ賃金総額でも、建設業だった場合は、自分の負担が270,000×4/1,000=1,080円になります。
事業主の負担も、270,000×8/1,000=2,160円と高くなるのです。
清酒製造事業で、賃金総額が31万6,200円だったらどうなるでしょうか?
まず、自分の負担する割合は4/1,000なので、316,200×4/1,000=1,264.8円です。
端数の80銭は切り上げとなるので、1,265円を負担することになります。
事業主の負担は7/1,000なので、事業主の負担は316,200×7/1,000=2,213.4円です。
端数の40銭は切り捨てになるので、最終的な負担額は2,213円となるのです。
雇用保険を利用する機会が多い業種ほど、負担する割合も大きくなります。
その違いがあるということを、覚えておきましょう。
おさらい
今回のポイントを整理します。
・雇用保険料率は、業種によって異なる
・労働者と事業主がそれぞれ負担している
・雇用が安定しない業種ほど、割合は高くなっている
雇用保険料は、それほど大きな負担とはならない額ではありますが、事業主によっては独自の計算で徴収していることもあるので気を付けましょう。