やむを得ない理由から、最低限の生活も困難になったとき、頼りになるのが生活保護です。
しかし、申請したいと思ってもそのやり方がわからないという人も多いでしょう。
また、申請したとしていつから受給できるのでしょうか?
申請の方法や、支給開始日について解説します。
申請窓口は、福祉事務所
生活保護を受けたいと思ったとき、まずどこに行けばいいのか分かるでしょうか?
多くの人は、市役所や区役所など、役所を思い浮かべるでしょう。
しかし、実は申請の窓口は、福祉事務所という所にあるのです。
福祉事務所については、馴染みが無いという人も多いでしょう。
これは、社会福祉法で定められているもので、都道府県や市、東京23区では設置が義務付けられています。
ただし、町村への設置は任意となっています。
そのため、町村ではその役場が福祉事務所の代理をしていることもあるのですが、市や23区ではそれぞれ独立した福祉事務所があるので、申請はそちらに訪れなくてはいけません。
ちなみに、名称は福祉事務所とは限りません。
地域によって異なるのですが、福祉課や生活課という名称になっていることもあります。
場所が分からない場合は、役所に行って尋ねると教えてもらえます。
福祉事務所では、生活保護の申請以外にも様々な業務があります。
児童や母子、高齢者、身体障害、知的障害などに関するそれぞれの福祉サービスについて相談する窓口があるので、窓口を間違えないように気を付けましょう。
生活保護を受けたいからと窓口にいっても、すぐに申請はできません。
まずは、相談をして本当に必要なのか、確認されるからです。
まずは生活保護制度がどのような仕組みなのかを説明され、それから様々な手当などが利用できないかを確認されることになるでしょう。
それが終われば、申請を受け付けてもらうことができます。
申請する際は、特に必要な書類などはありません。
書類を渡されるので、それに記入すれば問題ありません。
生活保護の実施は、個人ではなく世帯単位になります。
そのため、申請書では世帯全体の事を書かなくてはいけません。
もし、自分は申請したいのに、家族は反対しているという場合は、支援団体があるのでまずはそちらに相談してみるといいでしょう。
それ以外には、保護を受けたい理由や援助者の有無、いる場合はどのような人がいるかを記入する欄があります。
虚偽の申請をすると、生活保護を受けることができないので正直に書きましょう。
申請したら、それで受付完了という訳ではありません。
その後、いくつかの資料が必要になります。
具体的には、世帯全体の収入や資産状況が分かるような書類を提出するよう求められるのです。
必要になる書類としては、まず通帳です。
それから、収入が分かる給与明細なども必要になるでしょう。
収入がない場合は、無収入申告書を提出しましょう。
資産申告書や収入・無収入申告書などは、福祉事務所でもらうことができます。
また、現在定まった住居が無い人などでアパートへの入居を希望している場合は、そのための初期費用になる一時金を申請する一時金支給申請書もあるので、それももらいましょう。
申請の際に、持って行った方がいい書類もあります。
何もなくても申請はできますが、最初から持参しておけば後から提出を求められることがないので、申請がスムーズに進みます。
その書類は、まず通帳や印鑑、本人確認書類、収入が分かる書類などです。
アパートに住んでいる場合は、これに加えて家賃が分かるように賃貸借契約書もあったほうがいいでしょう。
すぐに用意できない場合は、ないまま申請しても問題はありません。
しかし、後から必要になるので、なるべく早く用意しておきましょう。
申請後には調査が行われる
申請したら、それで生活保護を受けられるという訳ではありません。
その前に、申請内容が本当か、他の方法がないかといった調査が行われます。
その調査を受けて、ようやく生活保護を受けることができるのです。
調査の内容として、まずは住んでいる場所を確認されます。
決定されるまで、引っ越しなどは控えましょう。
また、生活保護を受けられる決定をされてから、引っ越すように言われることもあります。
住まいがない人は、申請した日から宿泊できる施設に入居できます。
地域によっていくつかありますが、公的な施設や民間施設への入所や、一時的な宿泊施設があるので、そこを紹介されるのです。
東京都なら、そのための「無料低額宿泊所」というものがあります。
こういった施設は、最低生活費で生活できる料金に設定されています。
しかし、そこへの入所は決して強制ではありません。
もし、入所できない理由がある場合は、断ることもできます。
それ以外にも、資産や生活状況などが調査対象になります。
預貯金の額や、生命保険への加入状況などを確認されて、問題がなければ生活保護を受けることができます。
原則として、14日以内には調査が完了しますが、特別な理由がある場合は最長で30日までかかることがあります。
調査結果に応じて、生活保護を受給できるかどうかの回答が出されます。
もしできない場合も、その理由と共に普受給決定通知が届けられます。
しかし、中には調査を待つ間、生活に困窮する人もいるでしょう。
その場合は、社会福祉協議会に「臨時特例つなぎ資金貸付」というものがあるので、そちらを申請してみましょう。
これは、10万円まで無利子で借りることができる制度で、住居がない離職者で公的給付制度を申請して受給を待つ状態なら利用できます。
これに該当しない場合でも、「緊急小口資金」というものもあります。
ちなみに、コロナウイルスの影響によって生活が困窮した人の場合は、これ以外に「緊急小口資金の特例貸付」というものが利用できます。
まずは、相談してみましょう。
支給開始日はいつ?
調査の結果、生活保護が受けられると決定された場合、申請日にさかのぼって保護が開始されます。
つまり、調査に10日かかったうえで決定通知が出た場合、その10日分も保護の対象になるのです。
生活保護費が支給されるのは、初回のみ決定から数日後です。
基本的には、一週間以内に銀行口座へと振り込まれます。
その際は、1ヶ月分をその月の日数で割った、日割り計算で支払われます。
例えば、6月11日に申請して、6月18日に決定した場合、6月分は11日から数えて20日分が支払われます。
これは、決定後に支払い手続きが行われるので、6月20日から25日の間には振り込まれるでしょう。
それ以降は、毎月決まった日に振り込まれます。
7月分は満額が支払われることになりますが、これは7月の初旬に支払われます。
その日付は、地域によって異なるので最初に確認しておきましょう。
生活保護は、一度決定された後も要件に反することがあれば、不正受給と見なされて保護が取り消されることがあります。
場合によっては、既に受給した分の返還を請求されることもあるでしょう。
毎月、受給要件を満たしているかどうかはチェックされます。
もし、やむを得ず受給要件に反するようなことが必要になった時は、事前に相談しましょう。
まとめ
生活保護の申請は、福祉事務所で行うのですが、難しいものではありません。
相談しながら申請書を書いていけば問題はないので、必要な書類を集めるのに時間がかかる場合は先に申請をしてしまいましょう。
早く申請したら、それだけ早く保護を受けられます。
不安なことがあれば、まずは窓口で相談してみることをおすすめします。